挨拶

私たちの会社は、ファイルサーバ検索・文書管理のパッケージソフトを作っています。

過去、数百社のお客様に、一つの製品を売ってきました。特定のお客様にカスタムメイドのシステムをゼロから開発するということは、一切やっていません。同じ一つの製品を、育てながら売ってきました。

これには、理由があります。

昔、私は、金融機関のシステムを作っていました。数十億円の案件を、二百人ぐらいで、二年、三年かけて作る。作るのに二年、テストに一年。最後は徹夜に次ぐ徹夜。動き出しても、夜中の一時にタクシーで呼び出される。それが延々続く。

しかも次のお客様のプロジェクトが始まると、また最初からやり直しって、大変にきつい仕事です。

ソフトウェアを作る人の夢は、黄金のマスターディスクを一枚作ったら、あとはコピーするだけで、みんなが同じものを使ってくれる、というものです。

ですが、最初から黄金のマスターディスクは作れません。最初のお客様が「これが欲しい」と言ったら、それを作って売らなければ、会社が存続しません。次のお客様が全く違うものが欲しいと言ったら、またゼロからやり直しです。

だから、つぶしが利くものは何なのか、をずっと考えました。会社を作ってから七年ぐらい、製品ができませんでした。あの案件もこの案件も、共通してこういう機能が必要だったな、という共通部分を製品化する。そういうことをずっと考えていました。

そうしてたどり着いたのが、ファイルサーバ検索・文書管理でした。

パッケージのいいところは、こうです。どこかのよその会社の誰かの要望のおかげで、あなたが便利になる。どこかのお客様で発見されたトラブルを解消したおかげで、他のすべてのお客様もそのトラブルから未来永劫解放される。案件数の蓄積から、全員が恩恵に預かれます。

案件数を増やすことに意味があるから、私たちは、大企業も中小企業も、両方やってます。多くのソフトウェアベンダーは、案件規模の小さい中小企業マーケットを切り捨てることで利益を確保しようとしますが、我々は逃げずにやっています。

環境や用途の多様性は、むしろ圧倒的に中小企業の方が高い。大企業案件一社より、中小企業50社の方が、学びも多い。中小企業からの学びは、大企業のエンタープライズの案件にも、実はすごく効いているんです。

その代わり、うちの製品には、誰も使わない機能もいっぱい盛り込まれます。百人中数人人しか使わないような機能です。ただ、デフォルトで無効化されていたり、メニューの奥にあったり、オプションになっていたりするので、使わない人は見なくて済みます。そうやって、ディープな製品になっていきました。

 

とはいえ、最初はただの検索エンジンでした。「あると便利だけど、無くてもそんなに困らないね」と言われていました。

それが結果的に、Windowsのファイルサーバに、検索と権限管理・属性管理などを加えるソフトになり、今では「これが止まったら仕事に差し支える」と言ってくださるお客様の方が多くなりました。

これから強化していきたい機能の方向性としては二つあります。

ひとつは、AI連携。ファイルサーバ検索エンジンとして、人間がファイルを見つけやすいようにするだけでなく、AIエージェントがファイルを見つけやすくしたり、人間が安心してAIにファイル操作を任せられるようにしたりするための機能。

もうひとつは、大規模文書管理システムの理想の追求。Windowsファイルサーバを活用しつくしてきた過去25年間の学びから、Windowsにとらわれない理想の文書管理システムを、AWSなどのマネージド環境上に構築しようというもの。

私たちは、これからも、この一つの製品を、育てていきます。

鉄飛テクノロジー 代表 岡田国一